配当投資は、企業が得た利益の一部が株主に分配される「配当金」を目的として株式を購入し、それを継続的に受け取ることで、安定したインカムゲイン(不労所得)を得る投資手法です。企業の成長に伴う増配や連続増配を期待し、長期保有を基本とし、配当金生活(配当金だけで生活すること)を目指す人もいます。従って、世代を超えて受け継がれる資産形成の最も主流な方法の一つです。過去約50年間で、S&P500の総リターンの84%は再投資された配当に起因しています。その詳細については後ほど説明いたします。
配当とは?
配当とは、上場企業や非上場企業が利益の一部を株主に分配することを指します。これは、企業が投資家へ資本を還元する方法の一つです。
企業の配当はどのように機能しますか?
企業が配当を支払うことを決定した場合、株主が保有する株式1株ごとに、あらかじめ決められた配当金が支払われます。企業がどの種類の配当を分配するかによって、支払いは現金、追加の株式、または株式を購入するためのワラント(新株引受権)などで行われます。
企業が配当を支払うことを義務付ける法律はありません。配当は、企業が株主と利益を分かち合うために選択する手段の一つに過ぎません。一方、REIT(不動産投資信託)は、米国(日本でも)の法律により純利益の最低90%を配当として支払うことが義務付けられています。これによって、REITはREIT証券としての資格を得ることができます。厳密には、REITが支給するものは「分配金」と呼ばれ、受け取る側にとっては配当金と似ています。しかし、配当は現金で支払われる場合とそうでない場合がありますが、分配金は必ず現金で支払われます。
配当金はどのくらいの頻度で支払われますか?
配当金は通常、株主に対して四半期ごとに支給されますが、月次、半年ごと、または年次で支払われる場合もあります。
権利落ち日(Ex-Dividend Date)とは何ですか?
権利落ち日とは、株式が次回の配当金を受け取る権利がなくなった状態で取引され始める日のことです。つまり、権利落ち日以降にその株式を購入した投資家は、その期間の配当金を受け取ることができません。権利落ち日より前に株式を保有していた投資家は、宣言された配当金を受け取る資格があります。
すべての株式から配当金が支給されますか?
すべての株主が同じように配当金を受け取るわけではありません。優先株と普通株の保有者では、配当金の額が異なる場合や、まったく受け取れない場合もあります。一般的に、優先株の保有者は一定した配当が保証されています。
一方、普通株の保有者には議決権がありますが、配当金の支払いは保証されていません。
このように、配当金が支払われる優先株は、債券に似た性質を持っています。
5つの配当の種類
1. 現金配当と株式配当
配当には現金で支給されるものと、追加の株式で報酬されるものがあります。追加の株式が付与される場合、これを「株式配当」と呼びます。
株式配当の主な利点は、企業が現金残高に影響を与えることなく、株主と利益を分かち合える点です。同時に、投資家は追加投資をせずに自分の株式保有比率を増やすことができます。
また、株式配当は投資家に税制上のメリットももたらします。通常の株式と同様に、配当として受け取った株式は、投資家が売却するまで課税されません。これにより、課税されることなく、より多くの資産を蓄積することが可能です。ただし、株式配当に現金配当の選択肢がある場合は、その分については課税所得とみなされます。
株式配当の希薄化
もう一つ考慮すべき点として、株式配当は株価に希薄化効果をもたらします。例えば、上場企業の取締役会が5%の株式配当を承認した場合、投資家は保有する20株ごとに1株の追加株式を受け取ることになります。しかし、これは同時に会社全体の発行株式数が5%増加することを意味します。その結果、既存株式の価値は希薄化します。
このような「希薄化効果」があるにもかかわらず、企業は株価の上昇によってその差が解消されることを期待して株式配当を実施します。
配当再投資プログラム
配当再投資プラン(DRIP, Dividend Reinvestment Plan)は、既存の株主が現金配当を追加の株式または端数株式の購入に再投資できるオプションです。配当支払日に、投資家は大幅な割引価格で株式を購入でき、手数料もゼロまたは最小限に抑えられます。現在、米国上場企業のうち約650社がこの選択肢を投資家に提供しています。
長期的に見ると、DRIPに参加した株主は自動再投資による複利効果を享受できます。配当が増加するにつれて、投資家は保有する各株式ごとに増加した配当を受け取り、それによってより多くの株式を購入できるようになります。
2. 特別配当
特別配当とは、本質的に一度きりのボーナスのようなものです。通常、配当を出さない企業が支給する場合が多いですが、定期的な配当に加えて特別配当が支払われることもあります。企業は、特に利益が多かった年の後に特別配当を支払うことが一般的です。一度特別配当を支払っても、その後継続して支払う義務はありません。実際、マイクロソフトは2004年に1株あたり3ドル、総額320億ドルの一度きりの配当を投資家に支払いました。しかし、通常の四半期ごとの配当額は1株あたり13セントのままでした。
3. 優先配当
優先配当とは、会社が株主に利益を分配する際に、普通株式の株主よりも先に、一定の金額や割合で配当を受け取る権利のことです。これは優先株式(種類株式の一種)に付与される権利で、配当の安定性や事業解散時の財産分配で優先される代わりに、議決権の制限などの条件が付くことがあります。
4. 普通配当
米国で配当は通常、「普通配当(Ordinary Dividends)」と「適格配当(Qualified Dividends)」の2つのカテゴリーに分けられます。普通配当は、会社の利益の一部を株主に分配するものです。
5. 適格配当
一方、米国の適格配当とは、特定の条件を満たすことで、長期キャピタルゲイン税率(より低い税率)で課税される配当のことです。アメリカ合衆国内国歳入法によれば、適格配当の税率は0%~23.8%の範囲となっています。
配当金は課税されますか?
配当課税は、米国、日本国内のどちらでも課税がされます。米国において日米租税条約に基づいた税率(10%)が源泉徴収され、残った90%の金額に対しても日本国内で税率20.315%の源泉徴収が行われます。つまり、「二重課税」されることになります。この二重課税を解消するためには確定申告をして「外国税額控除」を申請する必要があります。
外国税額控除制度を適用することで、米国で源泉徴収された税額(10%分)を控除することができます。ただし、外国税額控除には限度額があります。
なお、外国税額控除をする場合は、源泉徴収ありの特定口座の取引でも確定申告は必要になるので、その点は注意しましょう。
配当金の計算方法
例えば、ある会社が1株あたり0.10ドルの配当を支払う場合、100株を保有している投資家は現金で10ドルを受け取ることになります。また、株主が100株を保有していて、会社が10%の株式配当を実施した場合、追加で10株を受け取ることになり、合計で110株を保有することになります。
配当株の評価方法
どの配当株を購入するのか選ぶ際には、いくつかの要素を考慮すべきです。
1. 負債比率
投資家は、長期的に収益性があり、利益成長率の見通しが5~15%である企業を見つけることが推奨されます。負債比率が高い企業は、配当の削減を余儀なくされるリスクが高まる可能性があります。
2. 業界動向
投資家は、選んだ企業が現在の環境でうまくやっていけるかどうかを判断するために、より広い業界動向も評価する必要があります。
3. 配当利回り
配当利回りは、株価に対する年間配当金の割合を示し、株価に対して企業が毎年どれだけ配当を支払っているかを表します。この指標は、株式が将来的にどの程度の収入をもたらすかを投資家に示します。例えば、株価が1株10ドルで、年間配当が1株あたり0.50ドルの場合、配当利回りは5%となります。
4. 配当成長(Dividend Growth)
配当成長は、利回り以上に重要な考慮事項です。例えば、同業他社と比べて利回りが高い場合、それは必ずしも信頼できる投資先であることを示すのではなく、株価が低迷していることを反映している可能性があります。一方、配当を安定して支払いながら業績が加速している企業は、将来的に配当を増やす可能性があり、より魅力的な投資先となります。最終的に、配当成長は企業の質を示す、より強力な指標となります。
5. 一株当たり利益(EPS)
一株当たり利益(EPS)は、株主が企業の収益性を評価する際によく使われる指標です。技術的には、株主に帰属する純利益を一定期間内の発行済株式数で割った財務指標です。特定の企業のEPSの値自体はやや恣意的な場合もありますが、複数の企業を比較する際には有用です。
6. 一株当たり配当金
一株当たり配当金は、企業の利益のうち株主に分配される部分を示します。一株当たり利益と同様に、企業の収益性を測るもう一つの指標であり、投資家がその株式が魅力的な投資先かどうかを判断する手助けとなります。実際、企業は好調な業績を示すため、一株当たり配当金を増やすことがあります。
配当金を再投資することのメリットとデメリットについて
メリット
現金配当や株式配当は、通常1株あたり数セントや既存株式の価値のごく一部に過ぎませんが、長期的には投資家にとって大きな富を生み出す可能性があります。
複利効果
その主な理由の一つが複利効果です。配当金を再投資すると、その価値は大きく成長する傾向があります。配当金を再投資することで、投資家はより多くの株式を保有できるようになります。そして、より多くの株式を持てば持つほど、将来受け取る配当金も増加します。長期的に見ると、投資初期に支払われた配当金が総リターンに最も大きな影響を与えます。
重要なポイント:配当金は通常、1株あたり数セントや既存株式の価値のごく一部に過ぎませんが、長期的には投資家にとって大きな富を生み出す可能性があります。
再投資には、複利効果に加えて他にも、いくつかの重要な利点があります。
- 割引価格での購入
- 自動的な貯蓄戦略
- 投資プロセスの簡素化
配当金で自動的に新しい株式に再投資するDRIP(配当再投資プラン)は、より簡便な投資手法を可能にします。また、投資家が保有しなければならない株式数に下限がないため、すべての投資家がDRIPを利用できます。ここで特筆すべき点として、複利を得るために、必ずしも同じ会社の株式に配当金を再投資する必要はありません。むしろ、ある会社から受け取った配当金を他の銘柄に再投資することもできます。
デメリット
DRIPの欠点は、投資家が買う株価やそのタイミングをコントロールできないことです。これは常に市況データを追っていない、もしくは、経験の少ない投資家にとって大きなデメリットにはなりません。しかし、経験が豊富な投資家にとっては大きな不便と感じられる側面もあります。
また、配当金を再投資することに選んだ場合、特定分野へ投資が偏り、ポートフォリオの分散性が時間とともに低下する可能性もあります。さらに、DRIPは現金を受給する代わりに追加の株式を取得するので、現金収入が制限されることになり、これが一部の投資家にとって不都合な場合もあります。
最後に
米国上場企業における配当のほとんどは現金の支給です。長年にわたり、一部の企業は配当を中止、または一時停止してきました。例えば、2020年3月に新型コロナウイルスがアメリカで拡大した際には、90社の米国企業が配当を中止または一時停止しました。2008年の金融危機の際には、120社が配当を削減しました。
投資のヒント:配当利回りだけでなく、投資家は企業のレジリエンス(回復力や耐久力)の兆候にも注目すべきです。
これは、配当目的であっても、投資先の見極めの重要性を強調しています。高い配当利回りを持つ企業もありますが、景気が悪化すると、約束した配当を減配や無配にするのは、業界の中でもそのような企業であることが多いです。したがって、配当利回りだけでなく、企業のレジリエンス(回復力や耐久力)の兆候を見極めることが、投資家にとって重要です。
とはいえ、インフレが常に投資家にとって懸念材料であることから、多くの人が利益となる配当のチャンスを探しているでしょう。インフレ率は平均で約3%ですが、株価は通常、年間で約10%成長します。したがって、高い配当を支払う高パフォーマンスの株式は、どのようなタイプの投資家のポートフォリオにとって強力な資産となり得ます。上記の点をすべて考慮に入れれば、あなたは配当がもたらすメリットを最大限に活用できることでしょう。