本稿では、JPX日経400が従来の日経225よりも長期的に優れたパフォーマンスを発揮する可能性が高いとされる主な構造的理由について解説します。これはインデックスの設計やインセンティブに関係するものであり、将来のリターンを保証するものではありません。
JPX日経400とは
日本の上場企業では、資本効率をあまり重視しない経営者が多く、その結果、手元の資本が十分に活かされず、株価が伸び悩む企業が多いことが課題とされてきました。あわせて、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の面でも改善の余地があると指摘されてきました。このような状況を踏まえて創設されたのがJPX日経400です。
JPX日経400は、流動性や収益性に加えて、資本効率やガバナンスの状況も評価項目に含めて構成銘柄を選定する株価指数です。日本取引所グループ(JPX)、東京証券取引所(東証)、日本経済新聞社の3者によって共同開発され、2014年1月6日から算出が始まりました。正式名称は
JPX日経インデックス400ですが、一般にはJPX日経400という名称で広く知られています。
JPX日経400がより優れたパフォーマンスを発揮する可能性
エビデンスによると、JPX日経400は、より高い品質やガバナンスの重視、そして収益性の高い企業に焦点を当てることで、従来の日経225を上回る可能性が示されています。2024年3月以降、JPX日経400は
日経225や
TOPIXよりも力強いパフォーマンスを示しており、特に市場調整後の回復がより速い傾向があります。
JPX日経400が日経225に勝つ理由
構成銘柄の品質とコーポレートガバナンスへの注力
JPX日経400は、浮動株調整後の時価総額加重型を採用しており、規模が大きく流動性の高い企業が重視される、グローバルな基準に沿った指数です。平均自己資本利益率(ROE)や高い営業利益、過去の累積利益実績、強固なコーポレートガバナンスを基準として企業を選定しているため、株主重視の経営を求める海外投資家にとって、より魅力的な指数となっています。
日経225は、日本経済新聞社が東証プライム市場より選定した225銘柄の株価を合計して調整数で割る、株価平均型のレガシーな指数です。このような算定方法の為、株価が高い銘柄ほど指数への影響が大きくなります。これは、時価総額や収益性、財務健全性などに関係なく、株価のみで重み付けが行われることを意味しています。このような構成銘柄の選定は、ファンダメンタルズ(事業の基礎的要素)とはあまり強く結び付いておらず、代表性や継続性が重視され、事業パフォーマンスだけで決まるわけではありません。
構成銘柄の品質と収益性に拘ることの強さ
複数の国や地域にまたがるデータを用いて検証された研究では、高いROE、一貫した収益実績、強固なバランスシートを持つ銘柄で構成されたポートフォリオは、単純に時価総額だけで構成されたポートフォリオよりも、長期的にパフォーマンスが上回る傾向があると報告されています。JPX日経400は、これらの基準を選定ルールに明確に組み込んでいます。一方、日経225にはそのような要素はなく、銘柄の収益性や資本効率についてはほとんど考慮されていません。
したがって、JPX日経400の方が、収益性が高く効率的で、株主志向の企業に体系的に傾斜することが期待できます。また、単に株価が高いという理由だけで特定の企業の比率が過度に大きくなりすぎるのを避けることもできます。
採用されるための企業の努力の違い
JPX日経400入りを目指す企業は、継続的に行うべき努力があります。それは、要約すると次の3点です。
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収益性・資本効率の向上:ROE/ROICを経営の最重要KPIに位置づけ、事業・資本配分を見直す。
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コーポレートガバナンスと情報開示の高度化:取締役会の独立性・実効性を高め、 日本語・英語を含めた高水準の開示とIRを整備する。
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株主還元・資本政策の明確化と対話:成長投資と還元のバランスを示し、投資家との対話を通じて市場の信頼を獲得する。
これらは「指数入りのためのテクニック」というより、中長期的な企業価値向上のための王道の取り組みであり、その結果としてJPX日経400採用の可能性が高まる、という位置づけになります。
東証プライム市場の上場企業であっても、日経平均には選定されたものの、JPX日経400には採用されなかったケースもあります。
セクターおよび銘柄のバイアス
JPX日経400は、東証のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場する銘柄を対象としています。そのため、成長株が優勢な局面でより良いパフォーマンスを発揮する傾向があり、TOPIX全体と比べてROE(自己資本利益率)やP/Bレシオ(株価純資産倍率)が高く、より分散が効いています。また、「コアな日本株式」へのエクスポージャーに近いと言えます。投資魅力の高い日本企業を国内外にアピールできるよう、世界的に競争力があり、日本で最も優れた経営を行う質の高い日本企業の業績と、より連動したパフォーマンスが期待できるようになります。
一方で、日経225の算出方法では、経済への影響が比較的小さいにもかかわらず、株価が高い個別銘柄が過度に組み入れられる傾向があります。そのため、日本の経済や市場構造と必ずしも一致しないセクターへの偏りが生じることがあります。
規律メカニズムとしての銘柄入れ替え
JPX日経400は、毎年リバランスを行い、収益性やROE、ガバナンスが悪化した企業を除外するルールがあります。これは、継続的な品質フィルターとして機能します。
一方、日経225はパフォーマンスよりも代表性や企業イベントを重視して構成銘柄を変更する傾向があります。そのため、業績不振が慢性的に続く企業に対する規律が弱い可能性があります。
JPX日経400に連動するETF
新NISAの「成長投資枠」
海外在住の方向け(ドル建て)
最後に
まとめると、JPX日経400は、高いROE(自己資本利益率)や収益性、コーポレートガバナンス、ならびに株主志向といった基準に加え、より合理的な算出方式(株価平均型ではなく、浮動株調整後の時価総額加重型)を採用しているという構造的な特徴があります。これらの特徴により、長期的には日経225より高いリターンや、リスク単位あたりのリターンの増加が期待できます。
重要な注意点:これらの情報は、JPX日経400が特定の年(あるいは10年単位など)で日経225を上回ることを保証するものではありません。また、たとえ銘柄の品質や収益性、ガバナンスが優れていたとしても、長期間にわたる運用成績が日経225に及ばない可能性もあります。さらに、購入したETFの詳細、たとえば経費率や手数料、トラッキングエラー、税制上の取り扱いなどの要素も、実際の投資リターンに影響を与えます。
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