上場投資信託(ETF)について解説

上場投資信託(ETF) | | Jan 05, 2026 | 3分読み

上場投資信託(ETF)は、多様な利点を持つ柔軟な投資商品です。幅広い市場指数をパッシブに投資したい場合はもちろん、市場の特定分野に投資したい場合でも、ETFなら一つのファンドで複数の証券に低コストかつ簡単に投資することができます。

上場投資信託(ETF)について解説

ETFとは? 

ETF(上場投資信託)とは、株式と投資信託の特徴を併せ持つ投資商品です。ETFは株式のように証券取引所に上場しているため、取引時間中ならいつでもリアルタイムで売買できるのが特徴です。株価指数、金価格、REIT(不動産投資信託)などに連動するように設計されております。さらに、この投資商品の利点として1つのETFを買うだけで、複数の銘柄に分散投資するのと同じ効果が得られ、コストも比較的低い傾向にあります。 


ETFはどのように機能するのか?

ETFを購入すると、証券取引所で取引される一つの投資商品としてまとめられた複数の証券(バスケット)に投資することになります。多くのETFは、株式、債券、コモディティ、通貨など、さまざまな証券や資産クラスを対象とした基準となるインデックス(指数)をパッシブに追跡します。

ETFの株主は、基礎となる証券や資産そのものを直接所有するのではなく、ETF自体の株式を所有します。また、ETFは株式のように証券取引所で売買されますが、ETFの新規発行や償還の仕組みは、投資の世界でも独特です。

投資家がETFを株式として購入できるようになるまでの一般的なETFの上場手順は、以下の通りです。

  1. 投資会社またはETFマネージャー(「スポンサー」と呼ばれる)が、新しいETFを上場することを決定します。
  2. ETFスポンサーは、指定参加者(AP、Authorized Participant)と呼ばれる第三者(通常は大手金融機関)と契約を結びます。
  3. APは、ETFのベンチマーク指数に含まれる証券を購入し、それらを同等の価値を持つETF株式のブロック(「クリエーション・ユニット」と呼ばれる)と交換します。
  4. APは、取引所を通じてETF株式を投資家やマーケットメーカーへ販売します。
  5. 投資家は、そのETFに付けられた独自の銘柄コード(アルファベット)で識別し、取引所で株式と同じようにETFを売買できるようになります。

ETFの長所と短所

ETFには多くの利点がありますが、すべての投資家にとって理想的な選択肢とは限りません。他の証券と同様、投資家はETFの長所と短所を慎重に比較・検討し、自分自身の投資目標や戦略に合っているかどうかを判断することが賢明です。


ETFのメリット

  • 分散投資:ETFは1つのバスケットで数十、場合によっては数百の証券に投資することができます。複数の証券を分散して投資することで、リスクを軽減することが可能です。
  • 専門性:特定の分野に特化したETFを利用することで、一般の投資家が普段アクセスしにくい市場のニッチな分野にも投資できます。
  • 低コスト:ETFはパッシブ運用であるため、アクティブ運用のポートフォリオと比べて運用コストが非常に低く抑えられています。ETFの経費率が0.10%未満であることも一般的で、これは1万ドル(157万円)の投資に対して年間わずか10ドル(1,570円)のコストとなります。
  • 税効率:ベンチマーク指数に連動するETFの場合、ポートフォリオ内での銘柄の入替え回数(ターン・オーバー)が非常に少ないため、運用コストや株主への課税対象となる分配金を最小限に抑えることができます。
  • 市場注文:ETFの特徴の一つとして、株式と同様にストップロスや指値などのマーケットオーダーを出すことができる点があります。これらの注文機能により、投資家は最良の価格で自動的に証券取引を執行することが可能です。

ETFのデメリット

  • 取引コスト:多くのETFは手数料が無料、そして決済料金もかかりません。しかし、証券会社によっては、特定のETFを取引する際に手数料が発生する場合があります。手数料がかかることによって、本来のETFのメリットである運用費用の節約効果が打ち消されてしまい、もし投資家が頻繁に取引を行った場合、長期的には大きなコストとなることがあります。
  • 流動性の低さ:取引量が少ないETFは、取引量の少ない多くの株式と同様に、買値・売値のスプレッド(差額)が広くなることがあります。買値・売値のスプレッドとは、 買い手が支払う価格(買値)と、売り手が受け取る価格(売値)の価格差のことです。このスプレッドが取引コストに上乗せされるため、投資家のリターンが目減りする可能性があります。
  • 決済:株式と同様に、ETFの決済はT+2(取引日から2営業日後)です。つまり、取引が現金として決済されるまでに2日かかります。一方で、ミューチュアルファンド(米国の会社型投資信託のうち、一般的にオープンエンド型の投信)の決済は一般的にT+1(取引日から1営業日後)です。

ETFの種類

ETFにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると6つのカテゴリーに分類されます。具体的には、株式、債券、コモディティ、通貨、不動産、そして特殊ETFです。


1. 米国株ETF 
米国株ETFの世界には、数多くのサブカテゴリーがあります。一般的な米国株ETFの種類には、以下のようなものがあります。

  • S&P500連動ETF
  • 米国配当系ETF
  • グローバル株式ETF
米国株ETFは、グロースやバリューといったテーマ別、または小型・中型・大型といった時価総額別にも分類することができます。

2. 米国債券ETF
米国債券ETFは(ボンドETF)とも呼ばれ、これらのファンドはブルームバーグ・バークレイズ米国総合債券指数(Bloomberg U.S. Aggregate Bond Index、略称:AGG)などの債券市場の指数に連動しています。

その他一般的な米国債券ETFのカテゴリーは、以下の通りです:

  • 米国債
  • 社債
  • 非課税地方債
  • グローバル債券
  • 新興国債券
  • ハイイールド債(高利回り債)

3. コモディティETF
個人投資家にとって現物商品を保持することが困難または物理的に不便な場合、コモディティETFは金、穀物、石油などの特定されたコモディティや、農産物とエネルギーなどの生活必需品の価格を複合的に追うことができる商品バスケット指数という役割も果たします。

高いパフォーマンスを示すコモディティETFの例として、以下があります。

  • ゴールドETF
  • シルバーETF
  • 石油ETF
  • 天然ガスETF
  • 銅ETF
  • ウランETF

4. 為替ヘッジ型ETF
コモディティと同様に、為替ヘッジ型ETFは外国為替市場や為替リスク(FX)へのエクスポージャーを提供します。機関投資家であれば、CMEなどの先物市場で為替リスクをヘッジしたりしますが、これらは一般の個人投資家にとってアクセスが難しい市場でもあります。為替ヘッジ型ETFは、対象となる通貨を現金預金で保有したり、ベース通貨を先物取引していることがあります。


5. 米国REIT&不動産ETF
これらのETFは、一般的に上場している不動産投資信託(REIT)の指数に連動しています。REIT(リート)を運営する会社は、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を購入・運用し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家へ分配しています。不動産やREIT系ETFへ投資する方は、高い利回りを求める傾向があります。


6. 分野型ETF
ETFの利点の一つは、特定のセクターやニッチな分野に特化して投資ができることです。例えば、テクノロジーというセクター全般はもちろん、半導体や人工知能(AI)のようなより絞られたサブセクターに投資することもできます。テクノロジーのほかにも、ヘルスケア、資本財、一般消費財、金融サービス、公益事業などのセクターがあります。


ETFとミューチュアルファンドの違い

ETF(上場投資信託)とミューチュアルファンド(一般的な投資信託)は、いくつかの類似点や共通した利点を持っていますが、投資家が知っておくべき重要な違いもあります。たとえば、ETFとミューチュアルファンドはいずれも複数の証券をひとつの株式ファンドにまとめたものですが、ETFは株式市場の取引時間中に売買できるのに対し、ミューチュアルファンドはその基準価額が定まった後、つまり株式市場の取引時間終了後に取引が売買できます。


類似点

  • 分散投資:どちらのタイプも複数の証券に投資するため、個別の株式や債券だけに投資するよりもリスクが低くなります。
  • 選択肢の多様性:ETFもミューチュアルファンドも、投資家が選択できるさまざまな資産クラスや証券をカバーしています。
  • プロによる運用:ETFとインデックス型ミューチュアルファンドはいずれもパッシブ運用ですが、どちらもプロの運用者や運用会社によって運用されています。

相違点

  • 取引方法:ETFは株式のように市場でリアルタイムに価格が決まり取引されますが、ミューチュアルファンドは取引終了時に算出される基準価額(NAV、Net Asset Value)で決済されます。
  • 売買スプレッド:ETFは株式のように取引されるため、買値と売値の間にスプレッド(価格差)が生じます。このスプレッドに取引コストが加わる場合がありますが、ミューチュアルファンドには売買スプレッドはありません。
  • 初期投資額:ETFは1株単位で購入できるため、通常、ミューチュアルファンドの最低投資額(一般的に1,000~3,000ドル)よりもはるかに少額から投資することができます。
投資のヒント:ETFは元本保証のある投資商品ではありません。一般的に、ETFは個別株式よりも価格変動が小さい傾向がありますが、投資家は株式ETF、債券ETF、コモディティETFなど、さまざまな種類のETFに分散投資することでリスクをさらに抑えることができます。


米国上場ETFへの投資方法

ETFへの投資の魅力の一つは、その売買が通常の株式のように簡単であることです。ETFは約30年前から米国の株式市場に存在し、その誕生以来、投資商品としての人気が急速に高まっています。そのため、ETFはほとんどの証券会社で標準的に取り扱われており、また流動性が高いことから、ETFのトレーダーや投資家による活発なコミュニティも存在します。

ETFを購入する方法は以下の通りです。

1. 証券会社を選びます。
例えば、インタラクティブ・ブローカーズ、moomoo、松井証券、楽天証券、マネックス証券、SBI証券などのオンライン証券会社、VanguardやFidelityなどのファンド会社、またはWiseのような投資アプリがあります。

2. 口座の種類を選びます。
特定口座・一般口座・NISA口座の3種類から選択します。

3. 口座を開設します。
オンラインで数分程度で完了できます。

4. 証券口座に資金を入金します。
通常これはマネーマーケット口座であり、証券口座での取引を待つ間、現金を受け取り保管する役割を果たします。

5. ETFを選びます。
アメカブドットコムが提供するETFの日次ランキングや市況データ(無料)、アメカブETFプロ(有料)などのコンテンツを利用して選ぶこともできます。

6. ETFの株式を購入します。
証券コードで識別されるETFを「買い」注文し、購入したい株数を指定して注文を出します。注文は、通常の取引時間(日本時間で夏は22:30~翌5:00、冬は23:30~翌6:00)に行ってください。これは企業の株式を購入する手順とほぼ同じです。

よくある質問

多くのETFは、株式や投資信託と同様に、分配金として配当金が支払われます。配当金は、毎月、四半期ごと、半年ごと、あるいは年に一度など、一定の間隔で支払われます。これらの配当金は、ETFが保有している株式から得られるものです。投資家は、配当金を現金で受け取るか、あるいは配当金を再投資してETFの追加株式を購入するかを選択できます。ETFが通常株主に支払う配当金には、「適格配当金」と「非適格配当金」の2つの基本的な種類があります。
すべての投資には何らかのリスクが伴いますが、多くのETFは個別株式と比べて、一般的に値動きが小さい傾向があります。ETFは、複数、時には数百もの証券を一つのパッケージにまとめた金融商品であるため、投資家は分散投資によってリスクを抑えることができます。一般的に、ポートフォリオの保有銘柄数が多いほど、全体のリスクは低くなります。

アナリストの開示:私は(私たちは)、本文中で言及しているいかなる株式についてもポジションを保有しておらず、今後72時間以内に新たにポジションを保有する予定もありません。本記事は私自身が執筆しており、ここで述べている意見はあくまで私個人のものです。本記事により報酬は受け取っておらず、また、本文中で言及されているいかなる企業とも業務上の関係はありません。

アメカブドットコムの開示事項:過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。いかなる投資が特定の投資家に適しているかについて、推奨や助言を行うものではありません。上記に示された見解や意見は、アメカブドットコム全体の見解を反映していない場合があります。アメカブドットコムは、証券ディーラー、ブローカー、日本および米国の投資アドバイザー、または投資銀行として認可されていません。当社のアナリストは第三者の著者で構成されており、プロの投資家および個人投資家が含まれますが、必ずしもいかなる機関または規制当局によって認可または認定されているわけではありません。

Daiji Nara
Daiji Nara
Founder

メルボルン大学でクリエイティブアーツ(映画)学士号を取得し、金融市場、人材紹介、起業など幅広い分野で15年以上の経験を持つ多才なプロフェッショナルです。キャリアの始めは、インターバンク市場で債券のデフォルトリスクを売買するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の仲介業を行っておりました。その後、人材業界に転身し、グローバル企業のテクノロジー、コンサルティング、金融分野における中堅・上級職の人材紹介を専門としてきました。現在は、GDHプライベート・リミテッドの創業者兼CEOとして複数の主要なデジタル製品を所有し、運営しています。私は、金融工学を用いて「信用リスク」に特化したデリバティブ商品の開発やITサービスの基盤となるアプリケーションの実装を、社員として行ったことは有りません。しかしご覧の通り、私はそれらを動かす技術を日々開発しています。Geek気質な私の趣味が皆様のお役に立てることを、心より願っております。

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